犬と暮らすということ
Eggiさんのお言葉から、犬の気持ちが飼い主の個性と繋がっているのをとても強く感じるようになりました。シュウの怖がりは私そっくりだったのです。
そのことを証明するかのような機会を得ました。実は15日早朝に九州の実家の祖母が亡くなり、帰省していました。101歳まであと僅か2日のところでした。
久方ぶりに会った叔父や叔母からは、私が小さい頃、人見知りが強く、親以外の人と見れば、すぐギャーっと泣きだす手に負えない子で、また何か周囲の物を何でもすぐに怖がって、或る日、カーテンの影に怯えて火がついたように泣きだしたそうです。学校に上がってからは、すぐに 『泣き虫』 とあだ名が付いてしまい、友達ができにくい性格を作っていきました。
生後約8週間のシュウは、サンドイッチ用のバスケットに入り、宅配便にたった一匹で7時間も我慢してやってきた犬です。どんなに心細かったでしょう。到着した先には知らない人だらけで,しかもキャーキャー騒ぐ変な女の子達が3人もいて、不安だったと思います。
夜眠るときは<躾け本>に書かれている通り、ゲージに入れて独りで寝かせていました。クンクン泣いて寂しがるので、隣の部屋に寝ていた私は可哀相でそっと襖を開けて時々シュウの方を見ていました。襖が開くとシュウは来てくれるのかと暗闇の中で泣き止みました。誰か来て、抱っこしてくれるのを期待したのでしょう。でもいけないと<躾け本>に書かれていたので、それを鵜呑みにしていた私達は固くそれを守り、シュウは怖がりで、寂しがりワンコへと成長していきました。
我が家へ来て、一度もワンと吠えたことがなかったシュウが初めて、<ワン!>と言いました。何も知らない私は、シュウの声を聞いて喜びました。玄関のチャイムに初めて怖がって吠えた瞬間でした。覚えています。座卓の下へもぐり込んだシュウは、小さな身体で、震えながら玄関の方を向いていました。玄関でピンポンが鳴っても帰宅した夫におやつを与えてもらえば、なんでもないことだったのはないでしょうか・・。
私達家族が、シュウを怖がりのワンコだと理解し、トイレを失敗しても叱らず、庭に人が来たからと言って吠えるシュウの鼻先を、元通院していた病院の院長から教えられた通りに、<鼻先を指でピンと弾く>行動をとっていなかったら、シュウが人の手を恐れ、噛みつきワンコになることはありませんでした。自信はありませんが、そうではないかと思っています。
本当にシュウには申し訳ないことをしたと思います。飼うことに反対していた私を無視し、興味本位と、私の目を自分から反らす目的で遠方のブリーダーからネットで購入した夫。犬を飼ったら、必ず毎日散歩させると約束したのに、「歩かないでただクンクン匂いを嗅いでいるだけだから、つまんねぇ・・・」 とぼやき始め、面倒がってオシッコだけさせたら、5分も経たないうちに連れて帰るようになった夫。吠えると雑誌を丸めて、ゲージをガンガン叩き、「うるせーなぁ・・!」と怒鳴りちらし、車に乗せて自分の膝にオシッコをしたからと言って、大声で怒鳴る夫。その度に私は胸が張り裂けそうになり、身を縮めてシュウをいたわりました。こんなに小さな犬が祖そうをしたぐらいで怒鳴るなんて、犬なんか好きではなかったんだね・・・私は夫につぶやきました。夫は黙って横を向いていました。
私の心の病気は、夫から勧められたフルタイムでの仕事に就き、シュウと過ごす時間がほとんど無くなってからひどくなっていきました。仕事をしていても、集中力が失せると、シュウは今頃どうしているかなぁ・・・とぼんやり考えてしまい、職場のストレスも手伝って、とうとう朝布団から起き上がれなくなりました。周囲の勧めもあって私は一年半必死で働いた職を辞しました。シュウとまた一日一緒に居られるようになり、嬉しくて嬉しくてたまりませんでした。また以前のように、シュウと散歩ができる・・たったこれだけのことが私を心から幸せにしてくれました。
シュウはただ優しくしてくれる人と一緒に居たいだけなのでした。そして自分にとって周囲の物が怖いと思ってしまう性格なのだということを分かってほしいだけなのでした。一緒に居て上げて、お散歩をさせて、世話をして、怖がらなくてもいいんだよと犬の言葉で伝えてあげれば、それでよかったのでした。
リハビリにはまだまだ時間が掛りそうです。私との関係はよくても、家族が加わると家族との関係が出てきますから。ゆっくり時間を掛けて焦らずに、<もか王さん>のおっしゃるように一日一日を大切に暮らしていこうと思いました。
私には<やっぱり、シュウベルト!>しかいないのです。
また忘れた頃に更新致します ではまたピッピ
by syu_beruto73 | 2010-01-19 21:44 | ご挨拶